瑞希「ゴメンね……重いでしょ……」
恭介「うん。重い……」
瑞希「もう! こういう時は嘘でも『ううん、 重くなんてないよ』って言うものなの」
恭介「あはは……」

本当は少しも重くなんてない。

ただ……。

それを素直に口にしてしまうと、瑞樹も俺もこの後ずっと黙ってしまいそうな気がして……。

瑞希「もう、そうやって時々ちょっといじわるなこと言うところも昔から変わってないんだから……」
恭介「瑞樹に言わせると、俺は昔から何も変わってないんだな」
瑞希「ふふ、そうかも……」
恭介「それじゃあ、まるで俺が全然成長してないみたいじゃないか……」
瑞希「うーん……そうかも……」
恭介「あ……酷いな……」
瑞希「ふふ……冗談よ……それに、意地悪な恭ちゃんも優しい恭ちゃんも……」
瑞希「わたしは…………」
恭介「あ…………」
瑞希「…………」
恭介「…………」
瑞希「恭ちゃん……」
恭介「…………ん?」
瑞希「何でもない……ただ呼んでみただけ……」
恭介「そ、そっか…………」

またいつもみたいに『好き』とか言われるのかと思って身構えたけど、それは無かった。

代わりに有ったのは、ほんの少しだけまわした手に加わった力と、首筋にかかる甘やかな吐息。

瑞希「えへへ…………」
恭介「…………」

いつもの照れてしまうような言葉なんてないのに。
それなのに、なんだかいつもよりもずっとずっと照れくさくて……。

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